高松宮殿下記念世界文化賞
建築部門に伊東豊雄氏 10月13日授与式
世界の優れた芸術家に送られる第22回(10年)高松宮殿下記念世界文化賞の受賞者5人が14日、日本美術協会から発表され、建築部門で伊東豊雄氏(69)が選ばれた。
日本人の受賞は、丹下建三、安藤忠雄、槇文彦、谷口吉生の各氏に続き5人目。
授賞式は10月13日に東京・元赤坂の明治記念館で行われ、受賞者には顕彰メダルと感謝状、賞金1500万円が贈られる。
伊東氏は、日本建築学会賞作品賞を受賞した自邸「シルバーハット」(84年)で展開した「建築を軽く」という方法論で注目を集め、商業施設や公共建築にも活動の場を広げてきた。
代表作とされる「せんだいメディアテーク」(01年)では、通路や部屋という概念を飛び越えた空間と、機能を持定しない柔軟性が建築界に強烈なインパクトを与えた。
最近では海外プロジェクトが8割を締め、建築と自然、環境との関係を重視する伊東建築は世界的に注目されている。
建築部門の選考委員の香山壽夫氏は「建築を機械的に造形から開放し、生き物や生命体のような新たな力を与える。ち密に論理的に造るが出来た建築は自由で豊かに風のように人に働きかける」と伊東氏の建築を公表した。
伊東氏は「日本の建築を造る技術は世界最高の水準だ。地味だが重要な仕事をする職人たちの技に助けられ、わたしは仕事ができている」と日本の建築界に感謝を述べ、「多様や複雑、不安定など現代社会の秩序の中で、どう建築をつくるか。新しい秩序を形成することで既成の秩序を開放し、それを満喫してもらう。そんな建築をつくっていきたい」と話した。
10月14日午後4時から鹿島KIビル(東京都港区)で伊東豊雄受賞記念建築講演会が開かれる。